1月25日の毎日新聞の報道に対する全日本トラック協会のコメント

「運輸事業振興助成交付金に関する毎日新聞の報道について」



 運輸事業振興助成交付金制度(以下交付金事業)は、中小企業が99.9%を占めるトラック運送業界において、事業の公共性等に配慮し、公共輸送機関として輸送力の確保、輸送コストの抑制等を図るための施策を講ずるために、昭和51年に創設された制度です。
 交付金事業は、制度創設以来、事故防止対策をはじめ環境負荷軽減、労働環境改善等の推進を目的に、国及び都道府県の厳密な監督指導の下で適正に事業が実施され、安定的な輸送サービスの提供を通じて、わが国の経済活動や国民生活の安定向上に大きく寄与してきたところです。
 安全対策の主な事業として、長距離ドライバーの共同休憩仮眠施設の整備・運営、事業適正化対策、安全性優良事業所評価制度、運転者・運行管理者の安全教育訓練、ASV・ドライブレコーダ等の安全対策機器の普及促進対策などがあげられ、また、環境保全対策事業としては、低公害車導入促進助成、最新規制適合車の代替促進等に広く活用され、特に、大都市を中心とした大気汚染の改善や地球温暖化防止にも多大な成果をあげてまいりました。
 これに対して、記事には、トラック協会の基金が1200億円以上にのぼる、との指摘がありますが、これはそれぞれ独立した法人格を有する48団体の別個独立の基金を合算したもので、特定の団体のものではありません。基金は、貴重な交付金を将来にわたって有効に活用するため、その一部を国及び都道府県の指導と毎年度の予算承認のもと、目的を定めて長期間をかけて造成してきたものであり、政策金融機関への基金の預託による信用力の弱い中小零細事業者に対する円滑な設備投資資金の融資の確保や会員事業者が行う安全、環境対策の推進支援など、その適正な運営を通じて交付金制度の目的である輸送力の確保や輸送コストの抑制、事故防止などに適切に寄与しております。基金の規模についても、その目的に照らし、また業界全体で年間13兆円の費用支出を行うトラック運送事業の産業規模等に照らし、必要かつ適正な規模と考えております。
 また、政治献金については、あたかも交付金が原資になって政治献金が行われているような記述がありますが、全く事実に反するものであります。交付金は国及び各都道府県による指導監督及び毎年度の予算、決算の承認のもとで交付金の目的にしたがい適正に使用されており、政治献金の原資として政治団体に提供されていることは一切ありません。