女性の活躍
第85回都市対抗野球大会で初優勝、悲願の黒獅子旗を手にした西濃運輸㈱(大塚委利社長、岐阜県大垣市)野球部。日本一の野球部を声援と笑顔で支え、普段は同社の東京支店で発送業務担当者としてトラック運送業界を支える上野綾子さんに、同大会を振り返ってもらいながら、普段の業務や今後の夢についても伺った。
第85回 都市対抗野球大会優勝 西濃運輸㈱ 野球部マスコットガール 上野 綾子(うえの・あやこ)さん (西濃運輸㈱ 東京支店)
物流にも野球にも、「現場」にいるからこその喜びがある
――普段の仕事について教えてください。
西濃運輸㈱東京支店で、発送業務をしています。具体的には、お客様からお預かりしたお荷物を、ちゃんと荷受人様に届けるための「調査」という仕事を担当しています。
出荷いただいたお荷物の中に、住所不明のお荷物や、荷受人様が転居をされているお荷物があった場合、荷物のお預かりが一定期間以上経ってしまいそうな場合などは、到着店から配達できない旨が書かれたFAXが届きます。それを見て出荷人様に電話でご連絡することがメインの業務です。
業務の中で一番喜びを感じるのは、自分の業務をスムースに進行することができた時です。「調査依頼がきたらお客さんに電話をする→お客さんに返品指示をいただく→返品する」という一連の流れを円滑に進めることができた時は本当にうれしいです。時に荷物事故が起きてしまったり、お客様にお叱りを受けたりすることもあるのですが、何のトラブルもなく無事に届けることが、一番の目的であり、やりがいです。
――運送業界で働こうと思ったきっかけと、入社のきっかけを教えてください。
私は今入社2年目なのですが、大学生の頃、就職活動をしている際に、どの業界を志望しようかとても迷いました。初めは運送業界ではなく、食品卸の業界を中心に検討していたのですが、その中で「モノを届ける」ということに興味をもつようになり、トラックや鉄道、船舶など、物流業界を志望するようになりました。
学生時代のアルバイト先に、荷物を配達にきていたのが西濃運輸のドライバーさんで、もともと親しみがあったということもあり、就職説明会に参加したのが、入社のきっかけでした。
入社1年目は、今働いている東京支店の隣の営業所にあたる深川支店に配属になりました。そして今年の4月から、東京支店で勤務しています。
――どのような経緯で野球部のマスコットガールに?
都市対抗野球大会が東京で開催されるので、東京勤務の社員を何人か選抜し、その中から選んでいただいたのですが、なぜ自分が選ばれたのか自分でもよく分かっていないんです(笑)。いきなり支店長に呼ばれて、「マスコットガールをやってくれるかな?」と言われた時は、とても驚きました。
もともと野球を観るのが好きで、ルールなども一通り理解していたので、野球にかかわることができたのが純粋にうれしかったです。
天性の明るさで笑顔をもたらす 西濃野球部「勝利の女神」
――マスコットガールの仕事は具体的にどのようなものなのでしょうか。
開会式やセレモニー、試合前の整列や礼への参加、そして試合中に声援を送ることなどです。攻撃の際はベンチから出て、所定の立ち位置に立ちます。その際は、マスコットガール用の小さめのサイズのテディベアが用意されていて、それを持って「がんばれ!」と選手に声をかけながら応援します。守備の際はベンチに戻り、監督の後ろに座って試合を見守りました。
以前、当社の野球部が都市対抗で準優勝をしたことがあるのですが、その際のマスコットガールが東京支店の方だったそうで、「東京支店の社員がマスコットガールになると勝ち進める」、というジンクスになればいいな、と思ってはいましたが、実際にそうなることができて光栄です。
――大会中の印象的な出来事を教えてください。
初戦(7月22日)は、自分がマスコットガールとして参加する初めての試合というだけでもドキドキだったのですが、対戦相手が強豪で知られる東芝さんだったこともあり、特別な緊張感がありました。初戦は試合を見守るということだけでいっぱいいっぱいでしたが、笑顔だけは心がけていました。試合に勝つと、選手の皆さんから「勝利の女神だ」「次もお願いね」などとやさしく声をかけていただき感激しましたが、勝ち進んでいくたびに毎試合毎試合ドキドキの連続でもありました。点が入った時に、ホームインした選手が、ベンチの選手だけでなく自分にもハイタッチしてくれた時などは、本当にうれしかったです。
もちろん一番うれしかったことは、優勝の瞬間に立ち会えたことです。優勝した瞬間にチーム全員が駆け寄って喜びを分かち合う場に自分も立ち会うことができ、とても幸せでしたし、選手の涙にもらい泣きしてしまいました。他にも、初戦の際、初めて東京ドームに足を踏み入れ、芝生を踏んだ瞬間や、決勝戦で両チームのマスコットガールがくじ引きをする際マウンドに立つことができた時なども、感無量でした。
優勝後、たくさんのドライバーさんたちに「おめでとう!」と声をかけてもらったのも、マスコットガールをやってみてよかったことの一つです。
- ――今後の夢は?
夢というよりも希望になりますが、「現場で働く」ということにこだわりたいです。
入社1年目の研修では、「カンガルービジネスセンター」という小さなサテライト型店舗で、台車を押しての集配を行いました。お客さんやドライバーさんたちと話すことで、「現場でもっとお客さんの声を聞きたい」、「もっとドライバーさんとコミュニケーションをとっていきたい」と強く思うようになりました。とにかく人と話すことが大好きなので、現場で働きたいという思いは人一倍強いです。
<広報とらっく/平成26年9月1日号掲載>