[調査の概要]
(社)全日本トラック協会は、7月に実施した4-6月期の景況感調査とあわせて、最近値上がりの著しい軽油価格について、値上がりが収益に与える影響、運賃への転嫁状況などを調査した。
・調査方法 :トラック運送業界の景況感調査に同封して実施
・調査時期 :平成17年6月下旬~7月22日
・配布数と回収数 :900事業所に配布し593票を回収(65.9%)
1.軽油値上がりが収益に与える影響
■収益の悪化に大きな影響を及ぼす軽油価格の値上がり
軽油価格の値上がりが、「収益悪化に大きく影響している」とする割合は60.7%で、前回実施した調査結果の同割合47.7%から一層高まった。「やや影響している」(36.1%)もあわせると、9割を大きく超える事業者が悪影響を受けており、軽油の値上がりは、ただでさえ低いトラック運送事業者の収益をさらに圧迫していることがわかった。
一方、「収益悪化には影響していない」とする割合は2.7%で、前回の3.5%から低くなった。また、無回答は前回から少なくなり、軽油値上がりの問題への関心が強くなっていることが窺える。
図表1 軽油値上がりの収益の悪化への影響
注:前回調査は平成17年1月に実施
2.荷主への運賃値上げ交渉の状況
■現在、荷主に対して運賃交渉を行っているのは3割弱
軽油の値上がりによるコスト増分について、実際に荷主に運賃値上げ交渉をしているかについては、「交渉している」は28.5%、「これから交渉する予定」は30.2%で、合わせると約6割が荷主への転嫁を検討している。
図表2 軽油値上がりコストの荷主への運賃値上げ交渉
一方で、「交渉していない」とする事業者は40.3%みられる。その理由は、交渉しても無駄である、値上げは無理といった「あきらめ」が最も多い。また、競争が激しい中、交渉すると他業者に切り替えられるという懸念も大きい。
図表3 荷主へ運賃値上げ交渉をしない理由(複数回答)
3.運賃転嫁の状況
■転嫁できている事業者は6.6%から9.5%に上昇
転嫁できている事業者は9.5%(「ほぼ転嫁できている」(0.2%)、「一部転嫁できている」(9.3%))で、これも前回の6.6%(「ほぼ転嫁できている」(1.2%)、「一部転嫁できてい る」(5.4%))から、わずかではあるが上昇している。
しかしながら、軽油の値上がりによるコスト増分を運賃に「全く転嫁できない」とする事業者は89.2%に上る。
図表4 軽油値上がりによるコスト増分の運賃転嫁の状況
注:前回調査は平成17年1月に実施
また、転嫁(値上げ)ができた時期については、「平成16年7~9月ごろ」が7.1%、「平成16年10~12月ごろ」が8.9%、「平成17年1~3月ごろ」が17.9%、「平成17年4月以降」が58.9%である。運賃転嫁できた事業者は、半分以上が本年度になってから転嫁したことがわかる。
図表5 軽油値上がりが運賃に転嫁できた時期
また、運賃への転嫁による値上げの率は、「1%未満」及び「3~4%未満」が23.9%で多くなっている。一方、5%以上の高い値上げができたところも26.0%みられている。
図表6 運賃転嫁による値上げの率
4.運賃値上げの交渉がうまくいった要因
■ねばり強い交渉により荷主の理解を得ることが運賃転嫁のカギ
運賃転嫁の交渉ができた要因としては、「何回も交渉して、理解を得る」が50.0%の事業者で挙げられている。次いで、「元の運賃が低すぎた」(15.8%)、「軽油値上がりが社会的に理解されてきた」(7.9%)なども挙げられている。
図表7 運賃値上げができた要因(複数回答)