平成20年1月
[調査の概要]
原油相場(WTI、期近物)は、1月3日に市場最高値となる100.09ドル(1バレル)をつけるなど記録的高値を示しており、我が国の軽油価格も急騰している。
12月の軽油価格は、1リットルあたり114.9円(スタンド)、107.9円(ローリー)、111.9円(カ ード)となった。とくにローリーでみれば対前年同月比では17.2円高、15年度平均比では44.2円高となった(全ト協調べ)。
(社)全日本トラック協会では、軽油価格の高騰に対して、トラック運送事業者の荷主との運賃値上げ交渉の状況、運賃転嫁の実態等について調査した。
アンケート調査結果によると、燃料費のコスト増について、荷主に対し賃値上げの交渉を行っている事業者は68.1%、また一部でも運賃転嫁ができた事業者は40.3%で、これらの事業者における値上率は平均で4.0%であった。
こうした運賃転嫁の交渉がうまくいった要因としては、軽油の値上がりが社会的に認知されてきたこと、荷主がトラック業界の苦境を理解してくれたからなどが挙げられる。
・今回の調査時期 :平成20年1月5日~20年1月29日
・配布数と回収数 :全国853事業所に配布し596票を回収(回収率69.9%)
1.運賃値上げ交渉の状況
軽油価格の高騰によるコスト増分について、主たる荷主に対し運賃値上げ交渉をしているかどうかについては「交渉した」が21.0%、「交渉している」が47.1%で、合わせると68.1%の回答者で交渉を実際に行っている状況が窺えた。
一方、「交渉していない」とする回答は27.0%で少なくなってきている。
図表1 交渉の状況
2.運賃転嫁の状況
主たる荷主との運賃値上げ交渉において、軽油価格の高騰分のコストを荷主に転嫁できているかどうかをきいたところ、「まったく転嫁できない」は58.4%であった。
一方、「ほぼ転嫁できている」は1.5%、「一部転嫁できている」は38.8%で、合わせると40.3%の事業者で何らかの転嫁ができている。
図表2 運賃転嫁の状況
3.運賃値上げ率
「ほぼ転嫁」「一部転嫁」できたとする回答者に、運賃改定により1年前の同時期と比べてどの程度値上がりしたかについて聞いたところ、「3-4%未満」が最も多く24.9%であった。平均では4.0%の値上げとなっている。
図表3 運賃値上げ率
4.運賃転嫁(値上げ)交渉がうまくいった要因・秘訣
運賃転嫁(値上げ)交渉がうまくいった要因・秘訣としては、「軽油値上がりが社会的に認知されてきたから」(70.0%)、「荷主がトラック業界の苦境を理解してくれたから」(54.2%)、「何回も交渉して、理解を得たから」(52.1%)などの回答比率が高い。「日頃から荷主とのコミュニケーションが円滑だったから」(37.1%)がこれに続く。
図表4 運賃転嫁(値上げ)交渉がうまくいった要因・秘訣(複数回答)